「5Gオプションが無料になった格安SIM、mineoの5Gってどう?」
他の国と比較すると少し後れを取っている日本のモバイルネットワークの5G対応ですが、人口の多い地域から徐々にカバーエリアが広がり始めています。4つのキャリアとも対応地域を少しずつ広げてきました。
そしてドコモ、auなどMVNO=格安SIMに回線を貸しだしているキャリアの対応が進んでいる関係で、格安SIM側にも5G回線対応のサービスが出てくるようになっています。
そんな中、格安SIMサービスの一つであるmineoは5G回線対応オプションの無料化を実施しました。かなり積極的に5G回線対応を進める意思を表明したカタチですね。
この記事ではmineoの5G回線対応状況を確認していきます。
mineoは5Gでも繋がる
冒頭にも書きましたとおりmineoの格安SIMサービスでは5G回線も利用可能になっています。ただし、通常の契約だけで自動的に5G回線対応が行なわれるわけではなく、5Gオプションを追加する必要があります。
以前はこれ、有償オプションでしたが、しばらく前にオプション料金の無料化が行なわれました。手続きはまだ必要ですが、気軽に5G回線の有効化が出来るようになっています。
キャリア側の契約だと、今なら特に4G回線、5G回線を意識する必要はなくなっているかと思いますが、MVNOへの回線貸し出しの際には内部で何か扱いの違いがあるのかもしれませんね。
mineoの5Gエリアはキャリア次第
mineoは自社で携帯電話ネットワークを持たないMVNOのサービスです。ですのでmineoで利用出来る5Gのエリアは、mineoがモバイルネットワークを借りているキャリア側のエリア次第、というカタチになっています。
mineoではau、ドコモ、ソフトバンクの3つのキャリアのネットワークのいずれかに対応するサービスをチョイスできます。どの回線を選んでも価格は一緒ですので、エリアのカバー率やユーザーがよく利用する場所での回線の状況などに応じてプランを選ぶことが出来ます。
5G回線が使用可能なエリアについては、プランごとに対応しているキャリア側の5Gネットワークの対応状況がそのまま適用されることになります。
より具体的には、Aプランならばauの5Gカバーエリアをチェックすれば良く、Dプランはドコモのもの、Sプランならソフトバンクの対応エリアを確認すればOK。mineoの5Gオプションで5G回線を利用出来る場所はいずれのプランを選ぶかで決まるわけです。
現時点ではどのキャリアも5G対応のエリアは人口の大きな街・地域の中心部に限定されていて、郊外、町と町の間の地域では5G対応はほぼ行なわれていません。まだまだしばらくは4G回線との併用は続くはずです。
対応端末は?
mineoの5Gオプションをつけたプランで利用出来る端末も、A、D、Sのどのプランを選ぶかでだいたい自動的に決まってきます。
携帯電話で使う周波数帯域はそれぞれのキャリアごとに決められていて、その帯域は「バンド」と呼ばれます。そしてそれぞれの携帯電話キャリアが販売する携帯電話は、自社が持つバンドに最適化されるカタチで調整されています。
例えばドコモのスマートフォンならば完全にドコモのバンドだけしか送受信できないところまでは行っていないものの、auとかソフトバンクなどの他キャリアのバンドは一部しか利用出来ません。
ですので現在お使いの端末を流用するのでしたら、mineoでも同じキャリアを使うプランを選ぶ必要があります。au端末ならばAプラン、ドコモ端末ならばDプラン、ソフトバンク端末ならばSプランですね。
これは中古のスマートフォンなどを使う場合でも同様です。どこのキャリアが販売した端末なのかはしっかりと事前にチェックしておく必要があります。
端末もmineoから購入するのでしたら、こちらの内容を気にする必要はなくなります。
また、Amazon等々から汎用のSIMロックフリー端末を購入するときにも対応バンドを気にする必要性は薄くなります。基本的に汎用のスマートフォンはどこのキャリアでも対応できるよう、対応バンドの限定は行なっていないからです。
汎用端末が全キャリアのすべてのバンドをカバーできるわけではありませんが、一般的に対応できるバンドの数はかなり幅広くなっています。mineoで、例えばAプランからDプランに変更しようというときにも、汎用端末ならば問題なく対応が出来るはずです。
mineo公式サイト:動作確認済み端末検索
5G回線で速度は上がる?
モバイルネットワーク側の規格上のスペックとしては、5G規格はこれまでの4G規格を大きく上回る論理通信速度を誇っています。実際の通信でも状況が許せば論理的な最大通信速度に迫るリンクアップ速度は出せるようです。
ですが実用上、実効通信速度がそこまで速くなることはまずありません。5G回線のカバーエリアは基本的に人口密集地域で同時にたくさんの人が通信を行なっていて回線を共有している状態ですから、単純に5G回線の状況だけを見ても4G回線より圧倒的に速い速度を出せるわけではありません。
特にMVNO、格安SIMサービスは回線などのバックボーンをニーズに合わせてギリギリまで絞ることで低料金を実現するシステムです。実効通信速度は携帯ネットワーク側の能力よりも、MVNOが抱えているバックボーンの能力によって限定されるケースがほとんどです。
実際の所、4G回線でも多くの格安SIMサービスではモバイルネットワークのポテンシャルを全部引き出すことはほぼない、と言っても良い状況でした。
ですので、残念ながら現時点では5G端末を使える格安SIMサービスを利用しても、実効通信速度のアップにはあまり期待は出来ません。
5G対応のメリット
恐らく今後も格安SIMサービスでは5G通信を利用しても通信速度面のメリットはあまり出てこないと思われます。理由は前にも書いた通りモバイルネットワーク側の能力よりも、MVNOが持っているバックボーンに制約を受けているからです。
では5G契約をするメリットが全くないかというと、そういうわけでもなく。5Gを上手く使える部分も少しずつ増えてきています。
現時点での代表的なメリットは、人口密集地域で5Gによるネットワークが4G回線までのネットワークのバイパスの役目を果たす可能性が高いところは挙げられるでしょう。
まだ5G未対応、4G回線までの対応の携帯端末を利用しているユーザーがそれなりの数残っているはずです。ですので、通勤時間帯の大きな駅周辺など大人数が一斉に携帯ネットワークにアクセスするような場所では、混雑する4G回線を避けて比較的空いている5G回線経由でより速度が高い通信が行える可能性があります。確実ではありませんが。
利用人数が少ないことに加え、電波の利用効率が4Gよりも5G回線の方が高くなっていますから、接続しやすさの面でも5G回線の方が有利になるはずです。
今後は各キャリアとも5Gのカバーエリアは広がっていきますし、対応端末もどんどん増えていきます。というか、基本すべての新端末、特にスマートフォンは5G対応が当たり前のスペックになります。
また、5G回線経由の通信は「遅延」が少ないことも特徴の一つになっています。現在、この特徴を有効活用できるネットサービスは少ないのですが、タイミングがシビアなゲームなどで有利に働く可能性は高いです。
mineoの5G回線対応のオプションは無料で追加可能なのですから、この際、一緒に付けておくというのが良い選択になるはずです。
閑話 ~5Gと5G~
いまだに時々、「5G」の意味で取り違えがあるようですので、定義を念のためきちんとまとめておきます。
「携帯電話回線」「モバイルネットワーク」の5Gは、「第5世代=5th Generation」の略です。4Gは第4世代ですね。
4Gは元々は3G LTE(第3世代の長期改善施策:3rd Generation Longterm Evolusion)だったものが事実上の昇格扱いになったものです。某社のブランドネームで「4G LTE」という表記がありましたが、厳密に言葉の意味だけを考えると4G LTE≒5Gになってしまいます。(国際規格上4GのLTEが検討されたことはありません)
ちょっと脱線しました。
携帯電話回線の5Gと結構混同されるようなのが、「Wi-Fiの5G(Hz)」通信です。
こちらはWi-Fiルーター・Wi-Fiアクセスポイントとの間の通信で使う電波の周波数の「5GHz(ギガヘルツ)」ですのでお間違いなきよう。
Wi-Fi側の5GHz通信は「Wi-Fi 5(IEEE802.11ac)」から利用出来るようになりました。様々な改善により大幅に通信速度が上がっているのが特徴です。また、従来の2.4GHzの電波での通信より、様々な機器の出す電波との干渉が少なく切断トラブルが少ないのも大きなメリットです。
2.4GHzの電波はBluetoothや無線マウス、キーボードで使われていますし、電子レンジの出すマイクロウェーブも周波数が近いです。それぞれ干渉して通信の安定性を落とします。
まとめ
格安SIMサービスでも5G回線の展開が進んでいます。mineoでは5Gオプションが無償化されるなど、MVNOとしても5G移行を後押しする動きになっているようです。
今後登場する新しい端末は基本5G回線対応のものばかりになるはずですし、キャリア側の電波の使い方も5G移行が進みます。現在4G専用で使われている電波も5G転用が進むことが決まっています。
現在大きなメリットがないとしても無償で利用可能なオプションですから、「ついでに付けておこう」ぐらいの気持ちで気楽に利用してしまうのがいいかもしれませんね。