MVNOのデメリットとして挙げられるもののひとつに、譲渡による名義変更ができないというものがあります。大手キャリアが名義変更可能なのと比べると、不便だというわけです。
しかし、実際には一部のMVNOでは、譲渡による名義変更が可能になっているのです。子供に回線を譲ることを考えている人らにとっては、うれしいところです。
MVNOの大半は譲渡による名義変更に未対応
MVNOの多くは、18歳未満での契約ができません。このため、スマートフォンを持つ場合には、親名義になっていることが多いです。親ならば成人しているので、契約に支障はないからです。
ただ、子供が大きくなって、使っている回線を譲ろうとしたときに、問題が生じるケースがあります。MVNOの大半は、家族や第三者への譲渡による名義変更を認めていないのです。
もちろん、結婚や離婚などによって名前が変更した場合の名義変更については、対応していないMVNOはありません。利用者の死亡に伴う名義変更についても、同様です。
問題となるのは、現在の名義人が生きているにもかかわらず、誰かに譲渡するような場合です。名義変更ができなければ、親名義で使い続けるか、解約して子供名義で改めて契約するしかありません。
結果として、契約に伴う料金が再び必要になります。こうした問題が起きないようにするためには、譲渡による名義変更が可能なMVNOを選べばいいのです。主なものとしては、以下の4つがあります。
・mineo
・OCNモバイルONE
・イオンモバイル
・ワイモバイル
譲渡可能なMVNOその1・mineo
mineoは家族間だけではなく、第三者による譲渡でも名義変更を行うことが可能です。ただ、第三者に譲渡する場合は、契約譲渡手数料が必要になります。
譲渡可能な相手と必要書類
mineoは譲渡による名義変更の対象を定めていません。つまり、現在の名義人と血縁や婚姻関係がなくても、譲渡による名義変更は可能になっているのです。
契約譲渡手数料は3000円です。ただし、譲渡する相手が三親等以内の親族である場合、手数料は不要です。子供や孫に譲渡する場合が、これに当たります。
名義変更の申し込み方法は、まず、mineoのサポートダイヤルに電話をします。受付時間は午前9時から午後9時までで、年中無休です。
電話をすると、同意書が送られてきますので、必要事項を書いて返送しましょう。その際、譲渡する相手の本人確認書類と、本人名義のクレジットカードが必要となります。
メリットとデメリット
mineoのメリットは、サポートが比較的しっかりしていることです。実店舗も各地にありますし、マイネ王というコミュニティーサイトでユーザー同士がサポートし合っています。
ドコモ、au、ソフトバンク回線のすべてが選べるのもメリットです。auはVoLTEの問題がありますが、それ以外はSIMロック解除なしで利用可能です。
問題があるとすれば通信速度です。昼間の利用者が多い時間帯だと、どの回線でも1Mbpsを割り込むことがあり、決して速いとは言えません。
譲渡可能なMVNOその2・OCNモバイルONE
OCNモバイルONEも、譲渡による名義変更は相手が誰であっても可能です。こちらはmineoとは違い、誰が相手でも手数料が必要になります。
譲渡可能な相手と必要書類
OCNモバイルONEは名義変更の対象を「第三者」としています。つまり、血縁や婚姻関係がない第三者への譲渡でも名義変更は可能です。ただし、通話SIMは20歳、データSIMは18歳以上が対象です。
mineoと異なる点があるとすれば、手数料です。こちらは誰が相手でも手数料が必要ですが、金額そのものは800円とmineoよりかなり安くなっています。
名義変更を行う際には、公式サイトで譲渡申請用紙のPDFをダウンロードして印刷し、必要事項を記入して提出します。
提出する際には、本人確認書類の添付が必要となります。これは、譲り受ける方も、現在回線を持っている方も添付しなくてはなりません。
メリットとデメリット
メリットとしては、MUSICカウントフリーというオプションが挙げられます。Amazon Musicなど9つのアプリを利用する際、パケット容量を消費しないというものです。
スマホを同時購入すると、市場価格の半分程度になるケースがあるのもメリットです。安いものだと、端末代金が1万円台になることもあります。
デメリットとしては、ドコモ回線しか選べないということが挙げられます。通信速度も、遅い時間帯だと1Mbpsを割ることもあり、速いとは言えません。
譲渡可能なMVNOその3・イオンモバイル
イオンモバイルも、名義変更の相手を特に定めていません。ただ、必ず手数料が必要となるうえ、双方が専門店の窓口まで出向かなければならなくなっています。
譲渡可能な相手と必要書類
イオンモバイルも、譲渡相手についての条件を定めていません。つまり、家族限定というわけではなく、誰が対象でも回線譲渡による名義変更は可能なのです。
問題となるのは、名義変更に伴う手数料です。3000円と高いうえに、mineoのように「家族なら無料」というようなこともありません。
また、名義変更を行う際には、イオンなどに設置されている「即日お渡し店舗」まで、双方が出向いて手続きを行わなければなりません。
その際に、本人確認書類の提示も必要となります。実店舗まで出向く必要のないmineoやOCNモバイルONEと比較すると、ちょっと面倒だといえます。
メリットとデメリット
イオンモバイルの最大のメリットは、050電話を使ったかけ放題オプションが付けられることです。月額1980円を払えば、110番など一部を除きかけ放題になるのです。
回線はドコモ回線とau回線が選べます。また、イオン本体が全国展開しているので、実店舗がそれなりにあるのもメリットと言えます。
デメリットとしては、回線スピードが挙げられます。ドコモのタイプ1とauは、利用者の多い時間帯だと1Mbpsを割ることがあります。ドコモのタイプ2は、5Mbpsを割ることはあまりありません。
譲渡可能なMVNOその4・ワイモバイル
ワイモバイルは厳密にはMVNOではありませんが、こちらに分類されることが多いです。名義変更の際には手数料が必要なうえ、実店舗に双方が出向く必要があります。
譲渡可能な相手と必要書類
ワイモバイルは、中学生以上という条件を満たせば、譲渡相手に制限はありません。ただし、データ専用SIMについては、譲渡による名義変更ができないと明記されています。
名義変更の際には、手数料として3000円が必要になります。これは、誰が譲渡相手でも変わりません。また、現在の持ち主も譲渡相手も、本人確認書類と印鑑が必要です。
問題があるとすれば、イオンモバイルと同様、ワイモバイルも双方が窓口に出向いて名義変更手続きを行わなければならないということでしょうか。
ワイモバイルはイオンモバイルと比べると、専門店の数自体は多いので、イオンモバイルほどの手間はかかりません。それでも、実店舗に出向くのはちょっと面倒かもしれません。
メリットとデメリット
最大のメリットは、実店舗の多さでしょう。対人サポートがないと安心できないという人にとっては、大きなアドバンテージとなり得ます。
通信速度が速いことも、メリットと言えます。利用者の多い時間帯でも5Mbpsを割り込むことがほとんどないのは、優秀と言っていいでしょう。
デメリットがあるとすれば、ソフトバンク回線以外の選択肢がないことでしょうか。利用者の多いドコモやauから端末を流用するなら、SIMロック解除が必要になるためです。